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翻訳(ほんやく)とは、英語や外国語を日本語に変えることです。「翻訳」と聞いてみなさんはどんなイメージを持つでしょうか? 「私は英語がわからないから無理・・・」「難しそう・・・」と思う人もいるかもしれませんね。
でも! 実は、翻訳ってそんなにややこしいものじゃないんです。いまからみんなで翻訳をやってみましょう! 簡単だから安心してね!
お題は、「mother」です。
mother は、日本語では「母」ですね。それではここで、あなたのお母さんを思い浮かべてみてください。あなたは、なんて呼んでいますか? おかあさん? ママ? おふくろ? ・・・ あるいは、「ねぇ」と呼びかけるだけ、っていう人もいるかな? もしかしたら、「○○さん」と名前で呼ぶ人もいる?
ではつぎに、お母さんを呼ぶのではなくて、あなたのお母さんのことを誰かに話すときには、なんて言いますか? 「うちのママは・・・」「私の母は・・・」などなど、これもいろいろでしょうね。
じゃあこんどは、あなたのお母さん以外のお母さんを想像してみましょう。近所のお母さんでもいいし、友達のお母さんでもいいですよ。そのお母さんは、かわいい?それともキレイ? やせてる?太ってる? 背が高い?低い? 性格は?優しいお母さんかな?恐いお母さんかな?
ではこんどは、外国人のお母さん(mother)を頭の中でイメージしてみましょう! どんな家族のお母さんでしょうか? どんな家に住んでいるのかな? 子供は何人?何才? だんなさんはどんな人? ペットはいる? どこで買い物をする?こうやっていろいろ想像しながら、 mother にピッタリの日本語を考えてみるとおもしろいですよ。たとえば・・・
こんなふうに、ひとつの英語から連想ゲームのようにイメージをどんどん広げて、ぴったりの日本語を探すことを、翻訳(ほんやく)と言います!
みなさんは、10人のインディアンの曲を知ってますか?
英語の歌ですね。
これなら、英語がわからなくても、「10人のインディアン」を日本語で歌って楽しめますね。このように英語の歌や外国の歌の歌詞を日本語に変えることを訳詞(やくし)と言います。
訳詞は、外国の曲を歌うためのオマケとして扱われることが多く、訳詞そのものが脚光(きゃっこう)を浴びることは残念ながらあまり多くありません。2019年6月30日(日) に開催される「ほんやく・おんがく」では、この訳詞(やくし)に注目して、訳詞の奥深さ・おもしろさにスポットを当てたいと思います。
もともとの英語から、どんなステキな日本語に変わっているのか、日本語をじっくり味わってみましょう! 英語と日本語を聴き比べて、英語のリズムと日本語のリズム、それぞれを感じてください。外国の曲を聴いたり歌ったりするのがよりいっそう楽しくなりますよ!
当日は、ピアニストや声楽家によるコンサートあり、トークショーあり、翻訳体験あり、盛りだくさんのプログラムです♪ このイベントでしか聴けないオリジナルの訳詞・編曲もあります! 子供も大人も楽しめる内容ですので、ぜひご家族みんなで日曜午後のひとときをお過ごしください!
【プログラム】
・ピアノコンサート
・音楽家と翻訳家のトークショー
・みんなで歌って踊ろう!
・翻訳体験! 訳して歌おう
・美しい声楽家のコンサート♪
などなど。
「エーデルワイス」は皆さんご存知でしょう。映画『サウンド・オブ・ミュージック』に出てくる有名な曲です。下に【英語の歌詞】と【意味】を書いておきます。この【意味】をもとに、どんな日本語にしたら曲に合ったステキな訳詞になるか、みなさんも歌いながら考えてみてください!
このエーデルワイスはどんなところに咲いているのでしょうか?草原?道ばた? 一輪だけ咲いている?たくさん群がっている? 季節は?天気は? エーデルワイスを人に例えるとどんな人? あなたがエーデルワイスに出会ったらなんて言葉をかけてあげる? などなど、連想ゲームのようにどんどんイメージを膨らませていくと楽しいですよ!
画像をクリックで再生(YouTube)
【英語】 | 【意味】 |
Edelweiss | エーデルワイス |
Edelweiss Edelweiss | エーデルワイス エーデルワイス |
Every morning you greet me | 毎朝 あなたは私にあいさつする |
Small and white | 小さく 白い |
Clean and bright | きよく あかるい |
You look happy to meet me | あなたは私に会うと幸せそう |
Blossom of snow may you bloom and grow | 雪の花 あなたが咲いて成長することを願う |
Bloom and grow forever | 咲いて成長する 永遠に |
Edelweiss Edelweiss | エーデルワイス エーデルワイス |
Bless my homeland forever | 私のふるさとが 永遠であることを祈る |
外国の歌が日本で歌われるようになったのは明治時代です。当時から、外国語の歌は外国語のまま歌うべきだという考えの人もいました。その一方で、親しみやすく歌いやすい日本語の歌詞をつけて歌うことで、ドイツ語の歌(ドイツリート)をはじめとした外国の曲が日本人にも知られるようになりました。しかし、そのような日本語の訳詞のなかには、音楽のリズムに合わせて創作しただけで、もともとの内容とはまったく違う訳詞も多くあります。
たとえば、今でこそ誰もが知っている赤い「バラ」。正式には、セイヨウバラと言います。その名のとおり、西洋(外国)のバラで、実は明治時代の日本では広まっておらず、日本人にはなじみがありませんでした。そこで、赤いバラをテーマにした外国の曲を日本語に訳すときに、本当は「バラ」の歌なのに、「菊」と訳して歌うこともあったんですよ! バラと菊ではイメージがぜんぜん違いますよね。
明治時代を代表する訳詞家・近藤朔風(こんどう さくふう)は、そうではなく、外国語の歌詞のストーリーをできるだけ残しながら、曲の流れにもピッタリ合う日本語の訳詞を作ることを試みました。そうすることで、外国の曲のメロディーと同時に、物語の素晴らしさを伝えることも目指したのです。いまでも、「野ばら」や「菩提樹(ぼだいじゅ)」などドイツの歌曲をはじめとした多くの曲が、近藤朔風の訳詞で日本人に親しまれています。なお、ドイツ語の訳詞にご興味がある方は、かしほん -歌詞の翻訳- のページもご覧ください!