かしほん別館では、古今東西、クラシックからロックやポップス・童謡まで、翻訳者目線で見て「こんな訳はオレには絶対思い浮かばないよ…」と、脱帽して嫉妬してしまうほど秀逸な訳詞(歌詞の翻訳)を紹介します。
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☆『イパネマの娘』
この曲の原詞と訳詞の全文を読みたい方は・・・
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【コメント】
おなじみの「きよしこの夜」
原曲はドイツ語です。
1818年12月25日にオーストリアの
オーベルンドルフ(Oberndorf)の
教会で演奏されたのが始まりです。
(曲)Franz Xaver Gruber
(詞)Joseph Mohr
原曲の歌詞を直訳すると・・・
由木康さんの訳詞は、もう文句なく
ただただ美しい日本語です!
まず、出だしの still(静かな)を
「清し」と訳したのが美しい。
「静」と「清」はイメージが近いですね。
次の「星は光り」という言葉は
原文にはないのですが、
Nacht(夜)という言葉からの連想。
キリスト=「救いの御子」という表現も、
「救い」と「御子」という2つの名詞を
助詞「の」でつなぐだけで、
こんなに簡潔で綺麗な言葉が生まれる!
ホレボレする訳語です。
最後は、
尊敬語を使った「眠り給う」。
そして、倒置法で「夢安く」で
余韻を残して終わる。
なお、別バージョンの日本語訳もあり、
こちらの訳では、
キリストが飼い葉桶に寝かされた
という聖書の言葉をもとに、
「馬糟(まぶね)の中」と訳しています。
聞き慣れない日本語ですが良い響きですね。
皆さまも、聖なる夜に
美しい日本語を味わってください♪
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【コメント】
原曲は、スロバキア民謡です。
スロバキア語の原詞を直訳すると、
おわかりのように、
日本語訳の「雪のおどり」とは
まったくちがう歌詞なんです。
そのため、歌詞の翻訳という面では
見るべきところは特にありません。
ただし!
この曲の美しさは、なんといっても
油井圭三さんは、この響きから
「しんしんと降る雪」
を思い浮かべたのでしょう。
擬音語が曲にハマりすぎていて
もとから「雪」の曲だったのでは
と錯覚してしまいますね。
同じメロディーでも、歌詞を変えたら
一味違った曲になることはあり得ます。
『雪のおどり』は、その典型例で、
訳詞が生み出した美しい新曲
と言えるのではないでしょうか。
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【コメント】2019/12/04
みなさん、こんにちは。
クリスマスに浮かれるアラフォー男です。
というわけで、今回もクリスマスソングです。
『Santa Claus Is Comin' to Town』
説明不要の定番ソングですね。
まずは上掲の原詞を直訳してみると、
「いい子にしてないとサンタが来ないよ!」
という歌です。
僕の知り合いのご家庭では、
良い子のところにはサンタが来るけど
悪い子にはヨンタかゴタが来るんだそうです。
サンタが一番お金持ちなのだとか。
さて、この曲の日本語バージョンは、
タカオカンベさんの訳詞でおなじみです。
原詞とは大きく異なる超訳ですが、
「あなたから」「わたしから」という訳詞は
簡潔で、それでいてみんなを幸せにする
魔法のような言葉ですね!
この訳詞から僕が連想したのは・・・
タカオカンベさんの訳詞に話を戻して、
僕が驚愕したのは、
普通の翻訳家なら、
「ここが腕のみせどころ!」
と鼻息が荒くなるところ。
ところが、タカオカンベさんは、
なんと英語をそのまま残しました。
でも、おそらくですが、
実際、
サンタクロース イズ カミン トゥ タウン
とカタカナで書いてあるだけで、
みなさんも曲が思い浮かびませんか?
文字を見ただけで歌を口ずさむことができる!
ヘタに訳すよりも何万倍も素晴らしい訳詞です♪
p.s.
ドイツの子供たちのもとへは
サンタクロースではなくニコラウスが来ます。
ひと足早く、12月6日に来ますよ~☆
文責: 福原真吾
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