Garota de Ipanema - Joao Gilberto
日本在住でブラジル出身のMさんに、ボサノバの有名曲『イパネマの娘』(Garota de Ipanema)の歌詞を解説していただきました! ポルトガル語の歌詞を丁寧にやさしく教えてくださり、とても勉強になりました。Mさん、どうもありがとうございました♪
今回ご指導いただいたMさんは、日本人の旦那さまと日本にお住まいですが、ご出身はブラジルのミナスジェライス州で、その後、サンパウロで長く暮らしていたそうです。サンパウロは商業都市で、みんなあくせく働いていて、東京の雰囲気に近い町とのこと。
一方、『イパネマの娘』の舞台となっているのはリオデジャネイロ。『イパネマの娘』の「イパネマ」は、リオデジャネイロにあるビーチの名前です。リオデジャネイロの人々は、サンパウロとは異なり、みんな陽気であまり働かず(笑)、のんびりしているそうです。でも治安が悪いため、ブラジル人でもリオデジャネイロを訪れるのは怖いのだとか。
サンパウロの人は「パウリスタ」、リオデジャネイロの人は「カリオカ」と呼ばれ、同じブラジルでも気質は正反対なのだそうです。
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赤い星の位置がリオデジャネイロ、青い星の位置がサンパウロ、緑の枠線で囲ったのがミナスジェライス州です。
さて、『イパネマの娘』という曲は、ブラジル人のトム・ジョビン(Tom Jobim)が作曲した曲です。トム・ジョビンは、リオデジャネイロ出身のミュージシャンで、この曲の歌いかたにもリオデジャネイロの方言「リオ弁」(?) が入っているとのこと。たとえば、「r」の発音が標準語とは違い、「amor」が「アモール」ではなく「アモーホ」のような発音になったりするのだそうです。
『イパネマの娘』は、英語版もありアメリカでもヒットしました。世界的に有名な曲なのですが、さいきんのブラジルの若者には、ボサノバというジャンル自体、あまり人気がないらしい。ブラジルの若者は、ブラジルやアメリカのポップス、そしてファンク音楽などを好んで聴くそうです。ボサノバは、日本で言ったら演歌のようなものでしょうかね?
・・・となると、『イパネマの娘』は、北島三郎さんの『函館の女』だろうか??
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では、歌詞を順にみていきます。
Olha que coisa mais linda という表現は、ブラジル人の男性がよく使うのだそうです。ブラジル人の男仲間がたむろしていて、かわいい女の子が通りかかると
É ela a menina (エラ ア メニーニャ)で「彼女は女の子です」。ちなみに男の子だったら、Ele é o menino (エリィ オ メニーノ)「彼は男の子です」。ざっくりいうと、女性名詞は「a」、男性名詞は「o」で終わることが多いとのこと。単語の末尾だけでなく冠詞も「a」と「o」で異なるのですねぇ。
caminho は「カミーニュ」と発音。末尾は、カタカナで書くと「ニョ」よりも「ニュ」。「o」よりも「u」に近い音になるそうです。
dourado は「金」。corpo dourado で「黄金の身体」です。ブラジル人女性は、こんがり焼くのがお好きなようです。夏は日傘が必需品の日本の女性とは違いますね。
日本語では、「黄金の身体」ではなく
balançado は「揺れる」。英語の swing です。
eu já vi passar は「私が今まで見た中で」という意味。
イタリア語やスペイン語ができる方はポルトガル語もいけるのではないでしょうか? 僕はポルトガル語の予備知識がほとんどなかったのですが、Mさんのおかげで歌詞の意味を知り、曲の背景のイメージをはっきりと思い浮かべることができ、よりいっそう訳詞を楽しむことができました♪
上記の訳はあくまでも歌詞を翻訳しただけです。実際に歌うための日本語訳詞としては、保富康午さんの訳があります。
(5) 『イパネマの娘』保富康午 も合わせてお読みください。
最後までお読みいただきありがとうございました!
文責: 福原真吾
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