かしほん別館では、古今東西、クラシックからロックやポップス・童謡まで、翻訳者目線で見て「こんな訳はオレには絶対思い浮かばないよ…」と、脱帽して嫉妬してしまうほど秀逸な訳詞(歌詞の翻訳)を紹介します。
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☆『イパネマの娘』
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【コメント】
原曲は、メキシコの歌手
Roberto Cantoral(ロベルト・カントラル)
の『El Reloj』という曲です。
El Reloj は、スペイン語で「時計」の意味。
上記の原詞を直訳すると、
かもまさるさんの訳詞を見てみると、
なによりも気になるのは、
というわけで、原詞をもう一度見てみると、
以下のような句があります。
菅原洋一さんが歌う上掲の動画をお聴き頂くと
わかりますが、たしかに、
「イーティック・タック」の「イー」の部分に
なにか日本語をあてはめようと思っても難しい。
この短さにハマる言葉が思い浮かびません。。
なので、
「チィ~~~ック・タック」のように伸ばしめに
歌うという手もあったかもしれない。
でも!
歌ったときの音の響きを考えたら
「イーティック・タック」が断然イイ!!
正直言って、最初は
「イーティック・タック」って意味不明・・・
そんな訳詞ありかよー!
と思いましたけれど、
なんども聴いているうちに
イーティック・タック
がベストな訳語にも思えてきました。
イーティック・タック
ちょっと斬新で、素敵な訳です♪
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【コメント】
『サンタ・ルチア』は、ナポリ民謡です。
サンタ・ルチアは、キリスト教の聖人の名前。
「シラクサのルチア」「聖ルチア」とも呼ばれます。
ナポリの船乗りたちの守護聖人だそうです。
上記の原詞の直訳は・・・
小松清さんの訳詞のなかの
「波を吹く」
という言葉に僕は惹かれました。
Venite は「みんなおいで」の意味ですが、
「友よ行かん」
と訳しているのも良い雰囲気♪
誰をも「友」として受け入れるナポリの人々の
おおらかな気質を映し出していますね!
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【コメント】
荻野目洋子さんが歌った『ダンシング・ヒーロー』
原曲は、Angie Gold の『Eat You Up』です。
上記の原詞を直訳すると・・・
うわぁ、こんな過激な歌詞だったんだ。。
この歌詞のまま日本語で歌ったら
教育上問題となりそうですね。
そこで!? 篠原仁志さんは
どう訳したかというと、
この原曲から「シンデレラ」を思い浮かべて
訳詞に持ち込むなんて、超絶センスとしか
言いようがない!
それにしても・・・
「シンデレラ」なら普通は「ガール」でしょ。
「シンデレラ・ボーイ」ってすごいなぁ。。
訳詞には、原文に忠実な翻訳もあれば、
原曲の雰囲気を元に日本語歌詞を創作する
いわゆる「超訳」まで、いろいろあります。
この歌詞は、「超訳」の名訳でしょう♪
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【コメント】
シューベルト「美しき水車小屋の娘」より
第13曲『緑のリボン』です。
原曲の題名は、
Mit dem grünen Lautenbande
『緑色のリュートリボンで』
楽器のリュートに付いていた飾りのリボン
あるいは、リュートに巻いたストラップ
のことかもしれません。
今回ご紹介する訳詞は、
個人的に思い出の深いものです。
もう20年近く前になりますが、
横浜・青葉台のフィリアホールで、
「美しき水車小屋の娘」を
カウンターテナーの米良美一さんが
松本隆さんの訳詞で歌うという
コンサートを聴きに行きました。
米良美一さんは「もののけ姫」で有名ですね。
訳詞を手掛けた松本隆さんは、
聖子ちゃんの「赤いスイートピー」をはじめ
数々の素晴らしい作詞があります。
このコンサートは、
僕が訳詞というものを強く意識した
初めてのひとときでした。
さて、訳詞について。まずは
上で挙げた原詞の一節を直訳すると
「die Hoffnung」: 希望
「grünt」: grün(緑色)の動詞形。
grünt は、「緑色を呈する」ですが、
転じて「芽生える」という意味もあり、
ここでは
「die Hoffnung grünt」: 希望が芽生える
ドイツ人にとって、
緑色は「芽生え」のイメージなのですね!
「希望が芽生える場所を知る」
「愛が鎮座する場所を知る」の部分を
松本隆さんは、
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【コメント】
失恋のシャンソン『Les Feuilles mortes』。
フランス語の歌詞は、詩人
ジャック・プレヴェール(Jacques Prévert)
によるものです。
日本語の題名は『枯葉』となっています。
しかし、フランス語を直訳すると
『死んだ葉』となります。
「枯れた」ではなく「死んだ」と、
より詩的な表現になっています。
上に挙げた原詞の一節を直訳すると
直訳ではなく超訳なので
フランス語と日本語が直接対応している
というわけではないのですが、
これを石原裕次郎さんが歌うから
さらにカッコよすぎのよすぎ! です♪
文責: 福原真吾
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