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名詞 to be ~ed
「to be」は「予定」を表す
今回は、「名詞 to be ~ed」という形に注目します。特許文献で頻出の表現なのでぜひマスターしましょう。
まとめ
いきなりまとめから書きます。
★まとめ★
名詞 to be ~ed
(1) 見つけたらマーカーを引こう!
(2) to be = 予定
(3) 訳語は「すべき」や「対象の」
第一に、名詞 to be ~ed は、翻訳の際に要注意すべき形の1つです。慣れないうちは、「名詞 to be ~ed」を見つけたら原文の原稿にマーカーを引きましょう! そのくらい大事です。とにかくまずは、「おっ!この形が出てきたな!」と気付かないことには話が始まりませんので、意識してみてください。
第二に、名詞 to be ~ed の「to be」はなにか? この「to be」は、「予定」を表していると覚えておきましょう。
第三に、翻訳のしかたとしては、「すべき」や「対象の」などと訳すとよいです。
名詞 to be ~ed
さて、上の説明だけではナンノコッチャわからないでしょうから、以下で具体例を見ていきます。
例1: 「the article to be inspected」
the article to be inspected
【単語】
the article: 物品
inspected: 検査される
「the article to be inspected」は、「名詞 to be ~ed」の形になっていますね。上で述べたように「to be = 予定」です。もし「to be」がなくて単に「the article inspected」であれば「検査される物品」ですが、「to be」によって「これから~しようとしている」というニュアンスが加わります。したがって意味は、
【意味】
検査される予定の物品
これから検査されることになる物品
これから検査しようとしている物品
となります。実際の翻訳の際にはもう少しかみくだいて、以下のような訳語を用いると簡潔な訳になります。
【訳例】
検査すべき物品
検査対象の物品
「the article to be inspected」が実際の特許文書で使われている例をみてみましょう。
【使用例】
米国特許第5699400号
The conveyor system has a conveyor belt that moves the article to be inspected through the emitted x-rays.
コンベアシステムはコンベアベルトを有し、このコンベアベルトは、検査すべき物品を移動させて、放出されたX線に通す。
コンベアシステムはコンベアベルトを有し、このコンベアベルトは、放出されたX線を通るように検査対象の物品を移動させる。
あと2つ例を挙げるので、感覚をつかんでください!
例2: 「a blood vessel to be monitored」
a blood vessel to be monitored
【単語】
a blood vessel: 血管
monitored: 監視される
【意味】
監視される予定の血管
これから監視されることになる血管
これから監視しようとしている血管
【訳例】
監視すべき血管
監視対象の血管
【使用例】
米国特許第6264627号
The catheter 1 is positioned in a blood vessel to be monitored.
カテーテル1は、監視すべき血管の中に位置決めされる。
カテーテル1は、監視対象の血管内に位置決めされる。
例3: 「a subject to be photographed」
a subject to be photographed
【単語】
a subject: 被写体
photographed: 撮影される
【意味】
撮影される予定の被写体
これから撮影されることになる被写体
これから撮影しようとしている被写体
【訳例】
撮影すべき被写体
撮影対象の被写体
【使用例】
米国特許第5752097号
The invention relates generally to the field of photography, and in particular to apparatus for supporting a camera to face a subject to be photographed and for illuminating the subject.
本発明は、概して写真の分野に関し、より詳細には、撮影対象の被写体のほうを向くようにカメラを支持するため及び被写体を照明するための装置に関する。
例外
上の例で「名詞 to be ~ed」のニュアンスと訳し方をご理解していただけたでしょうか? 以上で説明は終わりなのですが、ひとつだけ注意事項があります。例外についてです。
冒頭のまとめで、「名詞 to be ~ed」が出てきたらマーカーを引こう! と書きました。もし余裕がある方は、マーカーを引きながら、名詞 to be ~ed の前にある動詞にも目を配ってください。その際に動詞 allow, enable, require が見つかった場合には、注意が必要です。
これらの動詞は、「allow 名詞 to be ~ed」「enable 名詞 to be ~ed」「require 名詞 to be ~ed」という構文を作ります。上述してきた「名詞 to be ~ed」の形がこれらの構文にも含まれているのですが、ここでは「to be = 予定」ではありません。動詞に応じた翻訳をしなければなりません。
たとえば以下のような一文。
米国特許出願公開第20130120617号
The zoom control method allows a subject to be photographed by automatically performing a zooming operation.
マーカーを引いた「a subject to be photographed」の前に、動詞 allows がありますね。これは、「allow 名詞 to be ~ed」という構文で、
名詞が~されるようにする
名詞を~できるようにする
という意味になります。したがって、構文を正しく解釈して訳すと、たとえば以下のようになります。
米国特許出願公開第20130120617号
The zoom control method allows a subject to be photographed by automatically performing a zooming operation.
○ ズーム制御法は、ズーム操作を自動的に実施することによって、被写体が撮影されるようにする。
○ ズーム制御法は、ズーム操作を自動的に実施することによって、被写体を撮影できるようにする。
× ズーム制御法は、ズーム操作を自動的に実施することによって、撮影対象の被写体を可能にする。
ここでは、「撮影対象の被写体」と訳すのは誤訳です。
もういちどまとめ
★まとめ★
名詞 to be ~ed
(1) 見つけたらマーカーを引こう!
(2) to be = 予定
(3) 訳語は「すべき」や「対象の」
ただし、例外あり。
(4) 「allow 名詞 to be ~ed」の構文の場合は、動詞に応じた翻訳をする。動詞としては他に、enable や require など。「to be」を「すべき」や「対象の」と訳してはダメ!
最後までお読みいただきありがとうございました!
ダンケシェーン!!
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