「初体験」は、常に刺激的な瞬間、人生が広がる瞬間ですよね。
翻訳者なら誰しも、自分がもらった一番最初の仕事を鮮明に覚えていることでしょう。きっと皆さん、初めて納品を終えた瞬間は、喜びや安堵と同時に、高品質の翻訳ができたかどうか不安も混じっていたのではないでしょうか?
私の知財業界での初仕事は、特許翻訳ではなく、特許の日本語要約書作成の仕事でした。特許文献を読んで、その内容を要約して400字以内の日本語にまとめる、というお仕事。
1件につき1000円だったか1200円だったか。単価はよく覚えていませんが、フロントページの付いた英語特許文献の原稿を手にしてワクワクした喜びは今でも忘れません。
話は逸れますが、特許のフロントページの見た目ってカッコイイと思いませんか? 僕だけでしょうか? 僕は、フロントページを眺めているだけで賢い人間になれたような気がして、スタイリッシュなインテリジェンスを醸し出している自分に酔いしれてしまいます。
とんだナルシス野郎、とんだ勘違いです!
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特許のフロントページの見た目はこんなかんじ。
さて、要約書作成の仕事は、本来であれば、原文をひと通り読んで400字以内にまとめればよいだけの仕事でした。しかし、まだ特許翻訳の仕事を安定して得られていない時期でもあり、訓練と思って、1件まるごと翻訳していました。なかには数十ページの大きな案件もあり、駆け出しの僕にはかなりの重労働。とりあえず訳すだけでもヘトヘトでしたが、そのおかげで、質はともかく量をこなすという面での特許翻訳の基礎体力は付いたと思います。
ちなみに、要約書の「400字」という文字数制限は、特許庁で推奨されている文字数です。特許庁のホームページの要約書の概要に、
そうそうそう! 私の初仕事の納品方法は、完成した要約書を書き込んだ フロッピーディスク! を 郵送!! しての納品でした。今の時代に聞いたら笑ってしまいますね。若い皆さんは、フロッピーディスクなんて使ったことないでしょう。納品方法も時代と共に変わっていきます。現在は、メール(パスワード付き)での納品が主流でしょうか? 納品専用のサーバを構築なさっている翻訳会社もあります。TRADOSやMemsourceなど翻訳メモリで納品ということもありますね。
今後、新しい技術の発達や、時代に伴う制度改正などで、知財業界や特許翻訳業界も変化していくことでしょう。
「変化」は、私たちに「初体験」の機会を与えてくれます。常にドキドキしながら翻訳業を続けていきたいものです。
最後になりましたが、弁理士の内田浩輔様、「弁理士の日記念ブログ企画2019 」にお誘い頂きありがとうございました。知財業界のブロガーの皆さまとの共同企画を初体験させていただきました。
▼ドイツ語にご興味ある方はこちらもぜひ!!▼
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